SpecialInterview2011Nov .pdf

File information


Original filename: SpecialInterview2011Nov.pdf
Title: 2011DEC-intA3
Author: Quintsense

This PDF 1.3 document has been generated by Keynote / Mac OS X 10.6.8 Quartz PDFContext, and has been sent on pdf-archive.com on 29/11/2011 at 18:37, from IP address 61.195.x.x. The current document download page has been viewed 672 times.
File size: 933 KB (3 pages).
Privacy: public file


Download original PDF file


SpecialInterview2011Nov.pdf (PDF, 933 KB)


Share on social networks



Link to this file download page



Document preview


川崎 和男

1.モノを取り巻くすべてを

間はかけません。すると、
「短期間でで

  デザインする

きたのに、こんなに高額なの?」とクラ

――まず、ミネベアのオファーを引き

イアントから言われることもあります。

受けた理由についてお伺いします。

川崎:そうなんですよね。デザイン納

川崎:ミネベアのかつての経営者、故・

期を短縮できたら、本来であれば、
「特

高橋高見氏は、日本におけるM&Aの

急料金」を請求したいところです(笑)


先駆者です。私は彼の著書も読んで尊

 しかしそうはいっても、依頼内容が

敬していたので引き受けました。

非常に難解でテーマが壮大な場合、な

 ただ、ちょうどそのころ、久枝譲治

かなかデザインが出来上がらないこと

氏(在シカゴ日本国総領事館・総領事)

も正直ないとはいえません……。

から米国で「JAPANESE DESIGNS」

 ですから、ボールペンや万年筆のよ

の講演を依頼されていたので、渡米直

うに、シンプルなモノのデザインを手掛
Design Director Prof., Ph.D. Kazuo KAWASAKI 2011 © OUZAK Design Formation all right reserved.

前にミネベアの貝沼社長とお会いし、

―― 次世代インプットデバイスを提

川崎:とにかく、
美しいこと。
それから、

――先生の場合、それは社会が許して

――アイデアスケッチのポイントは?

案した時のミネベアの反応は?

清潔であること。実は、
従来のキーボー

くれないでしょう。デザインには、現

川崎:表側はアクリル板に光の文字が

川崎:皆さん、最初は驚きというより

ドというのは雑菌だらけなんです。

浮かび上がるというシンプルなモノで

も、啞然としていましたね。
「キーボー

 また、医療現場では、血液が付着し

す。実はむしろ、裏側のデザインに凝

ドなのにキーがないんですか!?」と。

てしまったキーボードは、血液感染を

になります。ですから「清潔性」は非

製品開発やデザインとは、時間をかけ

側面もあります。
ですから、
モノの
「カッ

りました。ブルーのカバーを逆にする

――COOL LEAFのデザインコンセプ

防ぐため、廃棄しなければなりません。

常に重要なコンセプトでした。

ればいいというものではありません。

コ良さ」
「ステキ」を具現化すること

と角度を変えることができるのです。

トとその背景についてお伺いします。

COOL LEAFは拭き取ることできれい

 現在、大阪大学医学部附属病院と同

―― 提案する側としては、そのよう

も捨て難い魅力のある仕事ですよね。

大学の看護学部で実際にCOOL LEAF

に感じることが多々ありますね。

デザインディレクター/大阪大学大学院工学研究科・医学系研究科教授/名古屋市立大学名誉教授/多摩
美術大学客員教授/金沢工業大学客員教授/博士(医学)

を導入し、試験していますが、今のと

 私は、コーポレート・アイデンティ

◆略歴
1949年、福井県福井市に生まれる
1972年、金沢美術工芸大学美術工芸学部卒業
1972 ∼ 1979年、東芝に所属、オーディオブランドAurexに従事
1979年、フリーランスとなり、東京で川崎和男デザイン室主宰
1996 ∼ 2006年、名古屋市立大学大学院芸術工学研究科教授
2001 ∼ 2003年、
「グッドデザイン賞」総合審査委員長
2006年より、大阪大学大学院 工学研究科 教授

ころ全く問題は起きていません。

ティー(以下、CI)の戦略立案や、ブ

―― 塩田氏の依頼から製品開発まで

ランドロゴのデザインを手掛けていま

のスケジュール感はいかがでしたか?

すが、
その多くは、
最初のインスピレー

川崎:私は「遅いな」と感じていました。

ションで基本構想ができるものです。

あ ぜん

川崎 和男

 ですから、依頼テーマ・内容にもより

◆主な著書:
『プラトンのオルゴール』
アスキー刊
(1997年)

、デザイナーは喧嘩師であれ』
アスキー刊
(1999
年)

『ユニバーサルデザインハンドブック』丸善刊(2003年)

『デザインは言語道断!』ア
スキー刊(2004年)

『倉俣史朗のデザイン』ミネルヴァ書房刊(2011年)

情があったことは理解していますが、

ますが、初回の提案までにそれほど時

◆主な受賞歴:毎日デザイン賞、国井喜太郎産業工芸賞、BIO賞、ICSID特別賞、SILMOグランプリ他多
数。ニューヨーク近代美術館や金沢21世紀美術館をはじめ、世界の主要美術館に同氏の作
品が永久収蔵・展示されている。

株式会社クイントセンス 代表取締役社長/テクノロジーブランディング研究会代表
1990年、CIコンサルティングのPAOS[現:㈱中西元男事務所]に戦略プランナーとして参画し、NTT
ドコモ、ぴあ、神奈川県、栄光、京急百貨店他のCI、ブランド戦略および多くの研究型プロジェクトに従
事。1995年、クイントセンスを設立。アスプローバ、ソニー損害保険、ヤマハ半導体事業部、オンワード
樫山、東レ、日清製粉グループ本社、金沢工業大学、三井住友建設他のCI、各種ブランド提案およびコン
サルティングを手掛ける。2008年より研究会を主宰し、
「テクノロジーブランディング」という考えを発表。
2010年には『技術を魅せる化するテクノロジーブランディング』
(技術評論社刊)を監修。モノづくり企
業におけるCI再興を意図し、理念の提唱や講演・執筆、コンサルティング活動を展開している。


『Newsweek日本版』の「世界が尊敬する日本人100人」で、2004、2009年に選出。2007年より、デザイ
ンによる世界平和構築を目指す「Peace-Keeping Design」プロジェクトを提唱。サラ・ペイリン氏(第
11代アラスカ州知事)の眼鏡「Kawasaki MP-704」が世界的な話題となる。2009年、
シカゴ、
ニューヨー
ク、ワシントンD.C.で、2011年には北京で 「JAPANESE DESIGNS」 について講演を行う。

The lnvention 2011 No.11

状を変革する問題解決手法としての役
Design Director Prof., Ph.D. Kazuo KAWASAKI 2011 © OUZAK Design Formation all right reserved.

もちろん、ミネベアにもさまざまな事

伝統工芸品から眼鏡やコンピュータ、ロボット、原子力エネルギー、人工臓器、先端医療、海事開発、宇
宙空間の装置化等、幅広く活躍し、世界に冠たるデザイナーとしてその地位を築いている。

12

けてみたいと思うこともしばしばです。

帰国してから本格的に始動しました。

割と、他方では欲望の喚起装置という

佐藤 好彦

2011 No.11 The lnvention

13

川崎 和男

川崎:現在、私は62歳です。付き合う

2.COOL LEAFに込めた想い

 しかし、これにはリスクも存在しま

――ミネベアは理解されているのだと

企業の経営者よりも私のほうが年上と

――ビジネス・デザインモデルの理念

す。例えば、開発した技術の流出や技

思いますが、
これはトレーサビリティー

――最近の活動をご紹介ください。

やビジネスモデルに至るまで、モノを

いうことも多くなり、
「長幼の序」と

についてお聞かせください。

術の複合化と発展性の阻害等々……。

に通じる問題でもあります。出所表示、

川崎:日本精密測器から発売されたデ

取り巻くすべてをデザインしています。

いうか、
「年上のいうことを聞け!」

川崎:モノづくりにおける技術開発やそ

――OEMによって事業が拡大してい

あるいは告知義務として、技術の開発

ジタル血圧計を手掛けました。正方形

そのために言うべきことは言わなけれ

という面もありますが、いずれにせよ、

の技術要素を統合・複合化し、発展さ

くなかで、
「果たしてこのままでいい

元・供給元は「これは自社の○○技術

でコンパクトな形状にまとめています。

ばいけないというのが私の流儀です。

デザイナーと企業の双方が互いに信念

せていく――。それをデザインが主導

のか?」という問題意識と変化を起こ

です」ということをエンドユーザーに

 現在、血圧計の最大の市場は欧州な

―― 私も全く同感です。その覚悟が

を持っている以上、 藤や喧嘩は避け

していくことを提唱・実践してきました。

せなかった企業が、
「実力はあるのに、

伝える責任があるはずです。モノづく

んですが、欧州高血圧学会(ESH)の

ない限り、良い提案やモノができるわ

られないことですし、それを回避すべ

 知的財産の中では理系と考えられる

存在感が希薄」になるのだと思います。

り企業の姿勢として、その責任を担う

「2010年度版臨床精度試験」にも日本

けがないということですよね。

きではないでしょう。

特許と、文系である商標の中間に位置

私は講演で、
「技術力の高さに比例し

ことが、産業界全体の発展にもつな

製品として初めて合格しています。

川崎:そのとおりです。ただ、誤解さ

 喧嘩が「華」となれば、そこには美

する
「意匠権」
を浮かび上がらせることに

て、企業のコミュニケーション能力が

がっていくのではないでしょうか。

 それから、フォトニクスという、フォ

れてしまうことも少なくないですね。

学が根付いてくるからです。

より、そこに文理が融合した
「美」
という

低下している」と主張していますが、

 これが「テクノロジーブランディン

トン
(光子)
を当てるだけで消毒するデバ

 私はフリーランスとなって、地元・

――「モノを取り巻くすべてをデザイ

新たな観念を生むことも狙っています。

例えば一般論として、OEMを「縁の下

グ」で提言している命題の一つです。

イスを開発しています。例えば、うがい

福井県で「町のデザイン屋さん」をし

ンする」について、
例示するとしたら?

 その「美」を周囲から支えているも

の力持ち」のように美化して捉えてい

川崎:なるほど。まさにそのとおりだ

をしなくても、喉を懐中電灯のようなモ

川崎:例えば、冒頭で申し上げました

のは、倫理観であり、正義性です。さ

る企業もあるのではないでしょうか?

と思います。技術ブランドを構築して

ノで照らせばOKとか、手をかざすだけ

 例えば、
「整理ダンス」を製作してい

「JAPANESE DESIGNS」では、PKD

らに企業は、profitとbenefitを使い分

川崎:ですから、技術の肝心要の部分

いくことができなければ、その企業は

で消毒できるというモノもあります。

る企業に呼ばれて行くと、その事務所

(Peace-Keeping Design)プロジェクト

けなければいけません。自社の利益で

をきちんと保護する、ブランド管理を

価格競争に巻き込まれて疲弊していく

 2007年、大阪大学に「フォトニクス

の様子を見て、
「貴社は整理ダンスを

などについて、これを日本発のデザイ

あるprofitだけを追求するのではなく、

徹底する、そして、ビジネスモデルを

だけですからね。

先端融合研究センター」が設立されて

ていた時期がありました。

14

3.デザインのポテンシャル

川崎:私はプロダクトデザイナーですか
らモノづくりがメーンですが、カタログ

つくっているのに、全然整理されてい

ン運動として紹介してきました。

倫理性あふれる美しい国をつくる。そ

確立することが大前提ですよね。

 とにかく、ミネベアがCOOL LEAF

以来、私はこのプロジェクトにアイデ

ませんね」と、口走ってしまい、先方

――問題解決手法としてのデザインが

のために利益の社会還元をする、つま

 このテーマは、ミネベアとも何度と

を強力なブランドとして育て、今後も

ア提案を行っており、
国際会議でもフォ

から「帰れっ!」と怒られたり……。

存分に発揮されたプロジェクトですね。

り公共の利益がbenefitなんです。

なく議論してきました。

発展していくことを期待しています。

トニクスは大きな脚光を浴びています。

 また別の企業では、看板を見て「汚

川崎:発展途上国の社会システムには、

 これらがビジネス・デザインモデル

いロゴマークだな」と思うと、デザイ

麻薬が密接に絡んでいます。それらの

の背景であると同時に、COOL LEAF

ンの依頼内容を聞く前に、
「入ってく

国では、子どもたちのワクチン予防接

が追求している「美」には、こうした

る時に気づいたんですが、何ですか、

種で使用した注射器に麻薬が充塡さ

多くの想いを込めています。

アレ? 訳の分からないマーク」


れ、売買が行われているのです。

―― 素晴らしいです。OEMについて

 すると、先方は「何でお前みたいな

 本プロジェクトの最初の取り組み

はどのようにお考えですか?

若造にそんなことを言われなきゃなら

は、まず、麻薬を充塡できないように

川崎:もちろん、OEMやライセンス

ないんだ? 帰れっ!」と追い返され

注射器の形態を変えることでした。

も事業戦略の選択肢の一つです。

たり……。そんな感じでしたから、当

 しかし、根本的な解決を図るには、

 汎用性や応用力が高い基礎技術の場

時は全然、仕事がこなかったんですよ。

注射器だけでなく、注射器を運ぶパッ

合、供給能力といった問題もあります

―― 先生の「喧嘩師」エピソードは

ケージや投下用のパラシュートに至る

し、その技術を世の中に急速に普及さ

有名ですが、今もそのポリシーは一貫

まで、やはり、トータルなデザインが

せるため、あえてOEMを選択するこ

されているのではないですか?

必要不可欠だったのです。

ともあるでしょう。

The lnvention 2011 No.11

簡単高精度家庭用血圧計
「DSK、WSK」シリーズ
2011年9月1日、日本精密測
器㈱より発売された。上腕式の
「DSK」シリーズは日本で初め
て、手首式の「WSK-1011」は、
世界で初めて欧州高血圧学会
(ESH:European Society of
© NISSEI
Hypertension)の2010年度版臨
床精度試験に合格した。
http://www.nissei-kk.co.jp/

Medical PhotonicsDesign
on Science & Technology
―Photonics“Photonics
Throat Cleaner”
喉の殺菌は、感染症予防や細菌
拡散を防ぐ点で重要。本デバイ
スは、殺菌効果のある光を喉に
照射すれば、数秒で殺菌効果を
得る。抗菌・防水仕様で水洗い
も可能。充電して繰り返し使用
できる。
2011 © Progressive Inclusive Design Laboratory
directed by Prof. Kazuo Kawasaki

2011 No.11 The lnvention

15

川崎 和男

16

――先端分野のデザインは実に学際的

川崎:そこなんです。デザインなくし

4.
「デザイン」

「意匠」
の乖離

川崎:私もその事故をニュースで知っ

 しかし、
「デザイン=意匠」
ではありま

 これを防ぐには、
「闇」における一

です。医療や経営、社会システム等と

て「夢」の実現はあり得ません。世界

―― 私は「科学・工学技術」という

た時、
「これで日本の子どもたちから

せん。デザインの本質とは、
「美的な要

条の光明となる灯りを見つけ出すか、

のインターフェースを担っていますね。

平和や環境問題においても、デザイン

ものは決して噓をつかないものだと考

冒険が奪われてしまう」と感じました。

素への考案による設計」
です。時代とと

あるいは発明や創出をしていかなけれ

川崎:確かに、デザイナーも職能意識

が関わることで、スムーズに解決でき

えています。

 安全への配慮はもちろん大切なこと

もにその意味と意義は拡大しています。

ばならないでしょう。

自体が問われる時代になっています。

るのです。そして、
そこから出来上がっ

 福島第一原発に限らず、事故の原因

ですが、人間が成長していく過程には、

 一方、意匠とは、形状や色彩、模様

 今、日本の未来は、再文明化を実現

 そしてもう一つ、現段階でその詳細

てくるモノは、必然的に美しいのです。

は技術そのものではなく、人間側の設

何らかの冒険も必要です。

において新規な工業的意匠を案出した

していくツールの発明や、何を創出し

を語ることはできないのですが、先般

―― 問題解決に「美の視点」を取り

計倫理や運用のシステムに問題がある

 そして、
「自然との調和」といいま

場合、権利保護がされるという狭義に

ていくべきかという全体のデザイン構

の福島第一原子力発電所の事故におけ

入れること。すなわち、本来あるべき

といえるのではないでしょうか?

すが、自然とは本来、人間にとって非

閉じ込められた概念にすぎないのでは

想にかかっていると思います。

る復旧・復興計画について、さまざま

理想を「デザイン」がかなえているか、

川崎:そうですね。問題の本質を見失っ

常に厳しいものです。自然の脅威を理

ないでしょうか? もはや、デザイン

 私は、デザインが一条の光明を創出

な提案を行っています。

という問い掛けが大切なんですね。

てはいけないと思います。それは、
我々

解したうえで、どのように対峙すべき

は意匠という枠に収まらない状況にあ

できるものと確信しています。発明と

――可能な範囲でお聞かせください。

 しかし、デザインやデザイナーの職

の日常生活、レジャーなどの楽しみや

か考えなければならないのです。

ると思うのです。

は「気づき」や発想ですが、
それは、
真っ

川崎:復旧・復興の目標は、避難生活

能ほど誤解されているものはないと感

遊びの中にも潜んでいるリスクでもあ

――それでは、COOL LEAFと知的財

――ヒトを正しい行いに導いたり、夢

白な紙の上に人間の思考形態をデザイ

を余儀なくされている方々の
「とにかく、

じているのですが、いかがですか?

りますね。

産の話に戻りましょう。わが国の法律

や喜びをカタチにする「美」の影響力

ンしていくことにほかなりません。

一日でも早く帰りたい」という切なる

 例えば、決定的な誤りは、デザイン

 私は、高校から大学にかけて、登山

の中で唯一「美」に言及しているのが

を、産業のみならず政治や教育、医療

 私は、この日本という国のために、

願いをかなえることです。何をどのよ

を「付加価値」と捉えていること。表

やロック・クライミングに熱中してい

意匠法です。

など多方面に応用していきたいです

デザインを通してこれからもいろいろ

うにデザインすれば、その目標を達成

層的レベルで「色やカタチ、装飾のバ

ましたが、例えば、アウトドア用品と

川崎:COOL LEAFは意匠登録されて

ね。では最後に、
本誌読者へのメッセー

と尽力していきたいと考えています。

できるのか――。日本は地震大国です

リエーションを増やす」ことなど、極

いうと、デザイン的にも素敵で優れた

いますが、電源を入れなければただの

ジをお願いします。

読者の皆さんも、ぜひ「美しい発明」

から、どこで地震が起きても不思議で

めて限定的なデザインの解釈です。

モノがたくさんあります。

「鏡」です。そのため、意匠による保

川崎:現在、わが国は国難といわれる

をしていただき、共にこの国難を乗り

はありません。日本列島の地盤の上に

 むしろデザインは「全体価値」やさ

 しかし、それらはすべての「安心・

護の対象となるのか、いささか物議を

状況にありますが、このまま日本の未

越えていきましょう。

造るすべてのモノは揺れるわけです。

まざまな諸条件を「統合する価値」と

安全」を保証しているわけではありま

醸したようです。

来を「闇」にするわけにはいきません。


「海上都市」というものがありますが、

位置づけられます。製品を例に挙げる

せん。使い方を一つ間違えれば、大き

これからは「陸上都市」です。日本列

と、存在させてしまうモノのあり様を美

な事故につながるおそれがあるという

島を人工地盤ですべて覆い尽くす……。

しく、といったデザイナーのこだわりが

ことを我々は肝に銘じなければならな

 不可能と思われるかもしれませんが、

ない限り、技術は洗練されていかず、

いということです。

例えば初めて発電所ができた時、山を

小型化も実現するハズがありません。

―― 先般、長野県の天竜川で川下り

越え、海底にケーブルを通して日本全

川崎:デザイナー特有の感性によって

船の転覆事故が起き死者が出ました。

国に送電線を張り巡らせるという今で

デザインが主導するからこそ、新たな

原因は、救命胴衣の着用を徹底してい

は当たり前の状況を当初から予測でき

技術が誕生する。技術者や研究者も気

なかったことのようです。

た人物が何人いたか――そう考えると

づかないことを明らかにし、それらが

 それにもかかわらず、最近の傾向と

十分あり得る話だと思いませんか?

具現化されていくのだということを、多

して、
「それならば、川下りという遊

―― すごい発想です! スケールが

くの方々にご理解いただきたいですね。

びそのものを禁止したほうがいい」と

大きく、ワクワクします。まず想い描

 つまり、デザインには意匠の前に計

いう方向に振れてしまうのではないか

かなければ、何事も進まないですよね。

画・構想する役割が求められるのです。

と危惧しています。

The lnvention 2011 No.11


「発明」編集部)

2011 No.11 The lnvention

17


Document preview SpecialInterview2011Nov.pdf - page 1/3

Document preview SpecialInterview2011Nov.pdf - page 2/3
Document preview SpecialInterview2011Nov.pdf - page 3/3

Related documents


specialinterview2011nov
letters to gail two
vardankar compiled writings i
letters to gail one
the spiritual notebook
illuminated way letters

Link to this page


Permanent link

Use the permanent link to the download page to share your document on Facebook, Twitter, LinkedIn, or directly with a contact by e-Mail, Messenger, Whatsapp, Line..

Short link

Use the short link to share your document on Twitter or by text message (SMS)

HTML Code

Copy the following HTML code to share your document on a Website or Blog

QR Code

QR Code link to PDF file SpecialInterview2011Nov.pdf