第83号(第三版) (PDF)




File information


Title: 第83号(第三版).pages

This PDF 1.3 document has been generated by Pages / Mac OS X 10.13.5 Quartz PDFContext, and has been sent on pdf-archive.com on 12/06/2018 at 09:27, from IP address 106.181.x.x. The current document download page has been viewed 579 times.
File size: 3.37 MB (44 pages).
Privacy: public file
















File preview


世界中の安部公房の読者のための通信 世界を変形させよう、生きて、生き抜くために!



もぐら通信   




Mole Communication Monthly Magazine
2019年8月1日 第83号 第三版
迷う
あな

あな
事の

ただ

ない

けの

たへ

迷路

番地

:

を通

に届



www.abekobosplace.blogspot.jp

「どんどん焼きには歴史がある。皮より餡が命だからな」

って

きま

『カンガルー・ノート』第6章風の長歌(全集第29巻、166ページ上段)


安部公房の広場 | s.karma@molecom.org | www.abekobosplace.blogspot.jp

もぐら通信
もぐら通信                         

ページ

2

    
               目次
0 目次…page 2
1 記録&ニュース&掲示板…page 3
2 池田龍雄展を観る::岩田英哉…page8
3 『カンガルー・ノート』論(17):5。6 次の存在への立て札を立てる:第7章:
人さらい:反歌(鎮魂歌):岩田英哉…page11
    5。6 反歌とは何か

    5。6。1 目次

4 安部公房とチョムスキー(9):今月は休載:岩田英哉…page 23
5 リルケの『オルフェウスへのソネット』を読む:第2部(27): 呼吸をせよ、お前、
見えない詩よ。 :岩田英哉…page 24
6 Mole Hole Letter(9):超越論(3):高天原…page 31
7 編集後記…page 43
8 次号予告…page 43
・連載物・単発物次回以降予定一覧…page 40
・本誌の主な献呈送付先…page44
・本誌の収蔵機関…page 44
・編集方針…page 44
・前号の訂正箇所…page44

PDFの検索フィールドにページ数を入力して検索すると、恰もスバル運動具店で買ったジャンプ•
シューズを履いたかのように、あなたは『密会』の主人公となって、そのページにジャンプします。
そこであなたが迷い込んで見るのはカーニヴァルの前夜祭。

もぐら通信
もぐら通信                          

ページ

3

  ニュース&記録&掲示板
The best tweets 10 of the month

en
Gold
e
Priz

該当なし

e
Mol

ol
er M
Silv
e
Priz

e

該当なし

今月の安部公房
hayamin@hayamin_tw 5月28日
#あの人の書斎
安部公房(1954年/撮影・
土門拳)
右奥は奥さんと娘さんか

今月の池田龍雄
巖谷國士@papi188920 3時間
池田龍雄展「楕円幻想」よかった。花田清輝や岡本太郎や安部公房、そして瀧口修
造との出会いを反映していた初期の諷刺的シュルレアリスムが、「梵天」を経てふ
と甦る。立体、箱のオブジェもおもしろく、不思議なユーモアが一貫している。い
つか書こう。★ pic.twitter.com/H7qTsZF1BV
hirokd267〈禁酒・祈願中〉@hirokd267 6月5日
安部公房が好んだという武井武雄の絵であるが、一枚の絵の中にストーリー性を感
じ取れる、つまり時間の流れを二次元の中に表現している、と観ることが出来る。
池田龍雄も時間の表現を目指していたこともあるので、確かめて来たい。これにつ
安部公房の広場 | eiya.iwata@gmail.com | www.abekobosplace.blogspot.jp
いては池田さんと以前に話し合ったことがあった。

もぐら通信
もぐら通信                          

ページ

4

今月の友達
番場 寛(Hiroshi Bamba)@desirdelAutre 5月31日
今、トリコ.Aの「私の家族」を観たところだ。強制されてそこにいるわけでもない
のに逃げられない疑似家族の怖さはひしひしと伝わってくるがこの感覚は、安部公
房の「友達」を観た時に似ていた。
今月のアメリカ論
hirokd267〈禁酒・祈願中〉@hirokd267 6月5日
安部公房の未完の「アメリカ論」については「アメリカ文化はクレオール文化であ
る」という肯定的なとらえ方がある、と思っています。
今月の安部公房の対談
舩橋岬@funabasi83p 10時間
この三十年前の安部公房の予言が的中しまくってて草。
https://youtu.be/NOAiCyOCX1Q
今月の読書会
安部公房の広場 | eiya.iwata@gmail.com | www.abekobosplace.blogspot.jp
千織@hioric_bits 13時間
本日の読書会は安部公房『けものたちは故郷をめざす』が課題図書。とにかく寒い

もぐら通信
もぐら通信                          

ページ

5

し飢餓状態だし見渡す限り荒野だし孤独だし同行者のこと信用できないし、と悲惨
な話だったけど、そこはかとなく人間の悲哀というかおかしみみたいなのがあった。
読めて良かった。
今月のクレオール
hirokd267〈禁酒・祈願中〉@hirokd267 6月5日
(備忘)晩年の安部公房がピジン語やクレオールという「話し言葉」に関心を持っ
たのも、そこに原初的なコミュニケーションや文化の発生を見ているからだと思い
ます。それに対して「書き言葉」は社会的に多かれ少なかれ権力や規範が関わって
きます。
今月の箱男
書家 知島(ちとう)@Titou810 6月3日
梅田 蔦屋。スタバ一杯分で心地よいソファに座って本三冊読めるだけでなく、どん
な大阪の文化施設も凌駕する良い空間。
これ↓ さりげなく壁に飾ってあったんだけど、米田知子の作品。選び方さすが。
タイトル
安部公房の眼鏡 - 「箱男」の原稿を見る
http://shugoarts.com/old/artists/tomoko-yoneda/ …

今月の安部公房論
詩的文学論文bot@shiteki_bungaku 6月4日
安部公房『壁--S・カルマ氏の犯罪』における「ぼく」から「彼」へ http://
ci.nii.ac.jp/naid/40006272201 …
詩的文学論文bot@shiteki_bungaku 6月1日
自由と反復 : 安部公房『砂の女』論 (特集 変容する欲望 : 高度経済成長期を読む)
http://ci.nii.ac.jp/naid/40019623991 …
詩的文学論文bot@shiteki_bungaku
5月31日
安部公房の広場 | eiya.iwata@gmail.com
| www.abekobosplace.blogspot.jp
書物の「帰属」を変える(3)安部公房『箱男』と虚構の移動性 http://ci.nii.ac.jp/
naid/40020255668 …

もぐら通信
もぐら通信                          

ページ

6

今月の贋安部公房
ディストーションbot@ihatedhisukoooo 6月1日
昔安部公房に似てるって言われたな

今月のR62号
津川智宏@Ysenpai 5月28日
安部公房

今月の桂川寛
kenjiro hosaka@kenjirohosaka 5月18日
kenjiro hosakaさんが【公式】東京国立近代美術館 広報をリツイートしました
御舟《京の家・奈良の家》 新収品の船田玉樹《花の夕》利行《タンク街道》谷中安
規の素描と版画、十亀広太郎の関東大震災直後の水彩による記録、猪熊《○○方面
鉄道建設》桂川寛による安部公房『壁』の挿絵原画、鈴木理策、Rフランクの写真、
今日18日なら無料で見られます!大観は見逃しても(後略)

(写真を)

今月の勅使河原宏
新文芸坐@shin_bungeiza 4月21日
絶賛上映中《白黒映画の美学》明日4/22(日)は、勅使河原監督の長編第1作となる
不条理劇『おとし穴』と、砂丘で昆虫採集をする教師が砂の穴の中にすむ女に捕ら
安部公房の広場 | eiya.iwata@gmail.com | www.abekobosplace.blogspot.jp
われる『砂の女』。安部公房原作、勅使河原宏監督、そして音楽は武満徹。ちょっ
とシュールな2本立てです。

もぐら通信
もぐら通信                          

ページ

7

今月の旭川東鷹栖安部公房の会
『グラフ旭川』(5月号)に同会のエンジンである柴田望さんの詩とともに、安部
公房の従姉妹であり昨年8月1日に亡くなられた渡辺三子さんの記事がに掲載されて
ゐます。
「渡辺三子さんは、1960年から2014年の長きに渡り、毎月「郷土誌あさひかわ」
を発行されていました。(略)安部公房、三浦綾子、井上靖といった旭川ゆかりの
作家論等も「郷土誌あさひかわ」には掲載されていました。連載された文芸評論家
高野斗志美先生による安部公房論は、後に一冊の本『安部公房を語る : 郷土誌「あ
さひかわ」の誌面から』にまとめられました。
1977年、安部公房スタジオの公演が4条のヤマハホールで行われ、800人もの観客
を集めたとき、旭川を案内したのは渡辺三子さんと高野斗志美先生でした。居酒屋
大舟には今もその時の写真が飾られています。
現在東鷹栖支所に常設されている「安部公房文学コーナー」にも、その時の写真や
資料が展示されています。佐藤喜一さんや、山口果林さんも写っていて、居酒屋大
舟の宴席に楽しげなご様子。安部公房が当時の松本市長訪問の様子や優佳良織の山
内綾とご一緒の写真も。
*
東鷹栖支所に展示されている膨大な安部公房資料は、渡辺三子さんが大切に所有さ
れていたもの。多くの方にご覧戴きたいとの願いを込めて展示されています。
(略)」
グラフ旭川5月号の注文先です:
(株)グラフ旭川
住所:旭川市9条通9丁目安田ビル3F
電話:0166-25-5616(代) FAX:0166-23-6500
また、東鷹栖安部公房の会の活動として、6月23日には片山晴夫教授の講演、8
月1日には近文第一小学校にて、安部公房作品のラジオドラマ脚本朗読会を計画し
てゐます。
安部公房の広場 | eiya.iwata@gmail.com | www.abekobosplace.blogspot.jp

もぐら通信
もぐら通信                         

ページ

8

池田龍雄展を観る
岩田英哉
過日、池田龍雄展あるを知り、東京練馬区の練馬区立美術館に足を運んだ。
以前一度本誌にては東京竹橋の東京国立近代美術館にて開催の池田龍雄展のレポートを『国立近
代美術館「美術にぶるっ!」展を観て』と題して掲載したことがありますので(もぐら通信第5
号)、これで二度目の観覧といふことになります。
しかし前回の都心での展覧会に比べて、今回は地元にお住まひといふことと、当地の美術館とい
ふことからでせう、逆に集中的な展示会でありまして、集中的といふ意味は、この画家の初期の
画業から今日に至るまでの画家の人生と活動の全体を観ることができる有意義な展覧会なのでし
た。
池田さんのお名前は初期安部公房を論じて隣接した藝術分野に言及する際には必ずといつて良い
程に名前の挙がる方ですが、今回私が展示会の順路に従ひ観覧して行つて最後の場で驚いたこと
から話を始めて、あなたとこの驚きを共有したい。
それは、池田龍雄さんが児童書のベストセラー浜田廣介作『泣いた赤おに』の赤鬼の絵を描いた
方であつたといふことです。

もぐら通信
もぐら通信                         

ページ

9

この最後の会場(二階の順路の最後の場所)には、池田龍雄さんと安部公房が二人で出版するは
ずだったものの、結局刊行できなかつた本の、当時の、そして今も名のある藝術家たちの推薦文
の校正刷りかと思はれる資料も展示されてゐて、安部公房の読者には興味深い展示になつてゐま
すが、ここでは『泣いた赤おに』に焦点を絞つてお話を致したい。
館内では写真を撮影できなかつたので、パネルの説明文などの引用も出来ず、残念ながら記憶の
中から書くことになりますが、画業の全体を展示されて観ますと、当日私の注意を一番惹いたの
は、池田さんの赤でした。
1950年代には姿を現してゐなかつたと思ひますが、そのあと1960年代以降に、さうして
この高度経済成長の10年間は池田さんがとても難儀を覚えた時代だと思はれましが、この時期
以降に連続的にまた非連続的に絵の中に現れては消え、消えては現れる赤い色が誠に印象が深く、
これはきつと池田さんといふ方の見えない脈となつてゐて画業を支えてゐる色彩だと私は思ひま
した。
さうして、ご経歴を調べて見ますと、池田さんは佐賀県伊万里の産とある。私はきつと伊万里と
いふ町は海のそばに違ひないと確信して、地図を広げると、果たしてさうでした。
といひますのも、私が30代の初めに、当時の共産主義のドイツである東ドイツの技術者と一緒
に通訳をして全国の土地土地の大きな鉄鋼会社や造船会社を巡つてゐた時に、山口県長州のどの
町であつたか、海辺の町で夕暮れ時に海の向かふに夕陽の落ちるのを観ることがありました。さ
うして、その色が萩焼の色と同じ優しい赤であることに驚きました。ああ、これが萩焼の色かと
思つたのです。
私の親しい故郷の海の夕陽は瀬戸内海のやうな内海ではなく、波の荒々しい太平洋の外海であり、
水平線の果てに沈む夕陽の赤は無残な赤であり、凄いといふ文字通りの、それも巨大な太陽の落
日でありますので、そのやうな内海の優しい小さな落日の色は生まれて初めて見たのでした。
この経験から、池田さんの赤を見て、ひよつとしたら伊万里の海に沈む夕陽の赤ではないかと思
つたのです。
伊万里焼きの赤は、かうしてみると、池田さんの絵の赤ではないか、どんなにその赤の周囲の色
が黒く暗くても、これはふるさとの赤ではないかと、このやうな写真で伊万里焼きを見ますと、
さう思ふのです。
『泣いた赤おに』の赤もまた、伊万里の海の落日の赤、伊万里焼きの赤ではないでせうか。






Download 第83号(第三版)



第83号(第三版).pdf (PDF, 3.37 MB)


Download PDF







Share this file on social networks



     





Link to this page



Permanent link

Use the permanent link to the download page to share your document on Facebook, Twitter, LinkedIn, or directly with a contact by e-Mail, Messenger, Whatsapp, Line..




Short link

Use the short link to share your document on Twitter or by text message (SMS)




HTML Code

Copy the following HTML code to share your document on a Website or Blog




QR Code to this page


QR Code link to PDF file 第83号(第三版).pdf






This file has been shared publicly by a user of PDF Archive.
Document ID: 0001878922.
Report illicit content