批評オフ vol.3【あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。】
作成日時:7/13(土)
作成者:デラ@あきひと
目次:1. 話したい内容(一覧) /2. 話したい内容(詳細) /3. 論評 /4.添付資料
1.話したい内容
事前に集めた、「話したい内容アンケート」の結果の一覧を記載します。
【a.じんたんの心境の変化】
a-1.「めんまを「幻覚」だと思っているじんたんが、蒸しパンがめんまにより作られる
事態を普通に受け入れたことに違和感を感じた。」(yu-ki)
a-2.「じんたんの T シャツと場面の関係性」(so-taro)
a-3.「願いを叶えようとする(2 話)→願いに向き合わなくなる(5 話)におけるじんたん
の態度の変化。第 5 話で『俺いそがしいし…』とめんまの願いに向き合わなくなる
のは、めんまを忘れられないゆきあつの姿を見たから?」(yu-ki)
【b.超平和バスターズのメンバー間(めんまも含む)の関係性の変化】
b-1.「じんたんはあなるを見ておらず、逆にめんまを良く見ている。
ゆきあつはつるこを見ておらず、逆にあなるを良く見ている点」(nobutsuna)
b-2.「それぞれの登場人物の役割について。
ぽっぽの存在により秘密基地が残ったなど。」(kyon)
b-3.「第 4 話にて、ゆきあつはどうしてめんまの格好で現れたか」(akihito)
【c. 作品のメインテーマについて】
c-1. 「題名の「花」とは何を指しているのか」(kattyan)
c-2. 「「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」の意味」(akihito)
c-3. 「最終回を見て泣いたひと、笑えたひとの各々の感想とその理由を聞きたい」
(akihito)
【d.その他】
d-1. 「じんたんの父親が幼い頃の仁丹に置いた手紙が英語による記載」(kattyan)
d-2. 「第5話で夕方なのにカラオケでビール飲んでるサラリーマンの存在に違和感」
(yu-ki)
d-3. 「アニメと小説版(脚本)の違いについて」(akihito)
【f.備考】*当日出た論点を加えてください。
・じんたんの父親が一度だけ、「じんたくん」ではなく、「じんた」と呼ぶシーン。
・つるこにとっての、めんまの存在。
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批評オフ vol.3【あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。】
2.話したい内容(詳細)
【a.じんたんの心境の変化】
a-1.「めんまを「幻覚」だと思っているじんたんが、蒸しパンがめんまにより作られる
事態を普通に受け入れたことに違和感を感じた(yu-ki)。」
a-2.「じんたんの T シャツと場面の関係性」(so-taro)
補足1:
OP「西へ東へ」、第 1 話:「地底人」、第 2 話:「無用心」・「くま殺し」、第 3 話:「火山」、
第 4 話:「光速」、第 5 話:「7 1/2」、第 6 話:「一寸/一斗」、第 7 話:「サバイバル」、
第 8 話:なし、第 9 話:「I ♥CB」・「笹団子」・「凹凸」・「百久」
第 10 話:「白ネギ」・「匠の」、第 11 話:「真心」、ED:「無常」
補足2:亜樹さんの話によると。脚本担当ではなく、原画監督の遊びで毎回決まっていたとか。
a-3.「願いを叶えようとする(2 話)→願いに向き合わなくなる(5 話)におけるじんたん
の態度の変化。第 5 話で『俺だって俺なりにいそがしいし…』と
めんまの願いに積極的に向き合おうとしないのは、めんまを忘れられない
ゆきあつの姿を見たから?」(yu-ki)
補足1:これはじんたんの心変わりではなく、主にめんまの心変わりを描くシーン。
めんまはじんたんとともにある生活に甘えて、自分が現世に
【b.超平和バスターズのメンバー間(めんまも含む)の関係性の変化】
b-1.「じんたんはあなるを見ておらず、逆にめんまを良く見ている。
ゆきあつはつるこを見ておらず、逆にあなるを良く見ている点」(nobutsuna)
b-2.「⑧それぞれの登場人物の役割について。
ぽっぽの存在により秘密基地が残ったなど。」(kyon)
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批評オフ vol.3【あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。】
b-3.「⑨第 4 話にて、ゆきあつはどうしてめんまの格好で現れたか」(akihito)
【c. 作品のメインテーマについて】
c-1. 「題名の「花」とは何を指しているのか」(kattyan)
c-2. 「「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」の意味」(akihito)
c-3. 「最終回を見て泣いたひと、笑えたひとの各々の感想とその理由を聞きたい」
(akihito)
【d.その他】
d-1. 「④仁丹の父親が幼い頃の仁丹に置いた手紙が英語による記載」(kattyan)
d-2. 「第5話で夕方なのにカラオケでビール飲んでるサラリーマンの存在に違和感」
(yu-ki)
補足1:言われてみればw
d-3. 「アニメと小説版(脚本)の違いについて」(akihito)
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批評オフ vol.3【あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。】
3.論評
■過去あったものの喪失といかにして向き合うか、克服するかが、作品のテーマになっていま
す。(*批評オフでは【0段階から1段階に近づこうとする話】と分類される作品。cf.タッチ、ノル
ウェイの森)
■登場人物らのめんまという存在の喪失への向き合い方は必ずしも健全なものとは言えませ
ん。以下の(1)〜(4)です。
□(1)【めんまの母親】
彼女の心の平安の為にめんまの死と向き合う事に抵抗し、めんまを生前の存在に留めようと
する事に必死になっています。それにより、今ある存在(家族)を疎かにしてしまったり、周囲を
恨んだりしてしまっている点が×。
□(2)【ゆきあつ】
不在のめんまに触れるため/近づく為の儀式を今なお続ける。それは「あの日」めんまに受
け入れてもらえなかった自分を救済する事が目的。「喪」の実施は個人の自由だが、つるこを
誘い、儀式に使用する女性ものの服を選ぶ様は自己都合的に見え、相手の感情に対する配
慮が無い為×。
□(3)【ぽっぽ】
ぽっぽはめんまが死ぬ姿を偶然目撃していた。めんまを助けられなかった事や、彼を恨んで
いるかもしれない、めんまの気持ちに怯え、事実を忘却しようと試みる。物的な忘却に頼る点は
○だが、本来的な忘却がありえない以上、一時的な避難場所を創設することと変わりない点な
ど、事実に対する態度を形成する事自体を放棄する点で×。
□(4)【あなる】
じんたんがめんまを傷つける事になった言葉や状況を演出し、その言葉に密やかな喜びを
感じていた自身が許せず、罪悪感ととともに生きている。罪悪感により、好意を抱くじんたんと
あえて心理的な距離をとる等、自分の好意を押し隠すようにしてきた。ぽっぽと似ているが、じ
んたんと同じ高校に行く等、物的な距離は置かない等、彼女自身の矛盾が随所に現れている。
れにより、忘却戦略も不可能であり、同時に今ある関係性から逃避していたりする点等が×。
■つるこやじんたんの向き合い方は割に良いです。
以下の(5)と(6)です。
□(5)【つるこ】
「あの日」のあなるとゆきあつが行った(じんたんを試す)試みを事前に知っていながら、彼女
自身の打算的な感情からそれを止めようとしなかったことに悔いを感じていた。
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批評オフ vol.3【あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。】
しかし、その罪悪感とは別個のものとして、ゆきあつとの関係を考えようとしている点は良い。
勿論それとは別問題として、ゆきあつの重症っぷりから現状、それが困難であることも彼女は
知っているわけだけど…
□(6)【じんたん】
「あの日」のことで、めんまに謝れる明日を切望していた。もう一度「あの日」をやり直すのでは
なく、謝れる「明日」を希求している事が重要です。
ゆきあつのように、単に自分を救うためでもあなるのように、自分の失態をやり直したいという
思考でもなく、めんまとの「ありえた明日」の関係を切望している*という点で◎です。
(*ちなみに、じんたんが、成長しためんまの姿と再会するのは、他でもない、めんまの「(あり
えた)明日」の関係性を切望していたからだと考えます。)
■今回は「あの日見た〜」という一見不可解な題名の意味について迫りたいと思います。以下
の①・②の順序で語ります。
①【めんまの死をどのように受け入れたか?〜ぽっぽを事例に】
②【「あの日見た花の名前〜」の題名の意味は?】
■①【めんまの死をどのように受け入れたか?〜ぽっぽを事例に】
□ぽっぽを事例に書いていきます。ぽっぽは、作中でじんたんの「めんまが願いを叶えてほし
い、と言っている」という話をはじめて賛同した人物です。
□但し、ぽっぽはめんまの実在を認めたわけではなく、あくまでじんたんを信頼しているから、
トゥギャザーするという態度でありました。その意味で、ぽっぽにとって、「願いを叶える」とは、
墓標に花を供えるという程度のものだったとも言えます。
□めんまの実在がわかった後に、ぽっぽの態度は急に切羽詰まったものとなります。なぜなら
ば、ぽっぽも他の登場人物と同じく、めんまに対する拭いきれない「罪悪感」を感じていたから
です。 「めんま、いるなら教えてくれよ。お前の願いをさ」(第5話)彼はめんまの実在とともに、
めんまへの罪悪感の忘却から覚め、めんまの願いを叶え、成仏させる事で、その罪の意識か
ら早急に逃れようとしていたのです。
□その後、ぽっぽは「あの日」に、めんまが死ぬ場面を目撃してしまい、未だに罪悪感の下に
生きている事を皆に告白します。これを通じて、ぽっぽは
・めんまのために「願いを叶える」事と、
・私たちにとって「願いを叶える」事を、区別して語る事が出来るようになります。
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批評オフ vol.3【あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。】
■彼らにとって、願いを叶える事=めんまとの離別を意味します。原作版でぽっぽは「めんま
に相談して、花火を上げるのをやめないか?」と提案したりするのもこの認識の現れです*。
(*アニメ版では花火を上げてから「告白」をするために、上記の台詞を言いませんでした。)
□以上のように、ぽっぽの態度は 4 段階にわたり変遷しました。
①当初の忘却→②墓標に花→③恐れ故の「儀礼」→④真心故の「葛藤」
□ぽっぽの描写からは読み取れませんが、超平和バスターズの皆が行き着いただろう5段階
目の態度というものがあります。それはアニメ版のじんたんの最後のモノローグから窺い知れ、
すなわち、それは 「願いを叶え続ける」という態度です。これは後述します。
■②【「あの日見た花の名前〜」の題名の意味は?】
□「願いを叶え続けること」とはどういうことでしょうか?それは、めんまの願いをある一つの願い
に還元せず、彼女の「願い」と共に生きる事を決めることです。それは、めんまの願いが不明だ
から、叶える事を放棄する事でも、特定の願いを叶えさえすれば良いとする態度でもありませ
ん。
■言葉にも/形にも出来ない感情を「涙」として流し続ける行為で永遠に達成することはない、
彼女の願いに名前をつけ続ける行為なのではないか、と考えます。作品が終わっても、あの日
見た花の名前を僕たちはまだ知らない「まま」なのです。花の名前とは、めんまの願いや想い
の名のことではないか?と考えます。
残された彼らは、めんまの願いに名前をつけ続け、それを叶え続ける「ように」生きていくのだ、
と最後にじんたんは決意表明をしているのではないでしょうか。(*その「名前」がフィクションで
ある事を知りながら名前をつけ続けるのです。)
そして、じんたんの言葉は、物語が「終わっても」、物語の余白に残り続けます。それは、私た
ちが一つの作品を読み終え、物語を閉じようとするその瞬間に現れ、
”私たちの(物語を終わらせようとする)儀式”=「喪」から抗し続けるのです。
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批評オフ vol.3【あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。】
4.補足資料
0 次元
【利益が「あったはず」なのに今は無い、という話=0 次元】
社会の有用性から阻害されているために、社会を回復する話
在るはずの状態から乖離した状態(マイナス状態)を描写する事になる。
ex)『タッチ』、『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』
1 次元
【利益の中に漂う(空気系)話=1 次元】
空気を読めば、社会の有用性が「確定している」話
在るはずの状態が、在るはずの状態(ゼロ状態)として(あり得そうな悲哀を含めて)、描写する
事になる。
ex) 『まどか☆マギカ』友情ものとしてしか魔法少女性をかんがえていない、まみさん、『けい
おん!』
2 次元
【社会の利益とは別の「個的」な利益を充足しようと(社会的に(さやか)/個的に(杏子))格闘
する話=2 次元】
空気を読むだけでは足りず、個人としての価値を研鑽し、追求する話
在るはずの状態では不足し、それを超え出る価値(プラス状態)の探求を描写する事になる。
ex) 『まどか☆マギカ』さやか、『時をかける少女』
3 次元
【社会の利益とは別の「個的」な利益を充足しようと、現実の秩序の下で最適化戦略を模索す
る話=3次元】
空気をもはや読まず、個人的な価値の実現の失敗(さやか、杏子)を、失敗に留まらせない方
策を、現実において採用する話。
ex)『まどか☆マギカ』ほむら、『スカイクロラ』
4 次元
【社会の利益とは別の「個的」な利益を充足しようとした上で、現実の秩序の再編成を模索する
話=4次元】
秩序自体の矛盾の無い生成に向かうため、設計の局所性に陥らない。
ex) 『まどか☆マギカ』神まどか、『serial experiments lain』
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